元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、外資系は女性が働きやすいです。
女性だけに関わるテーマと誤解されないことを願っています。女性が働きやすい環境は、男性も働きやすい職場ですし、日本企業から転職する男性はよく理解していないとギャフンと言うことになりかねません。
先日、元IBM執行役員・元マイクロソフト執行役員、外資5社で仕事をしたことがある女性と話をしていました。「私はラッキーで、女性で不利だと思ったことがないの」と言われ「ラッキーなのは私だけじゃなかったのか」と認識を新たにしました。
私は通算25年外資8社の人事に勤めましたが、女性で不利だと感じたことは1回しかありません。100%ではないかもしれませんが、やはり女性は外資の方が働きやすく活躍もしやすいのでしょう。
前出の1回は、3次面接官として会議室に入ったら、部屋で待っていた某一流商社の男性候補者の顔に「げっ、女が出てきた」と浮かんだというもので、社外要因であり属していた企業文化とは関係がありません。
何を持って女性が働きやすいかとするかは難しいところですが私は経験上、下記の3つを指標と捉えています。
1. 昇進や昇給に区別がない
外資系は成果主義で、性別・年齢・人種等で差別する事はありません。女性がキャリアに対して真剣で、実績も出しているのであれば昇進できるのが当たり前の環境です。
ここで女性がキャリアに真剣ならと冠言葉をつけました。なぜかと言うと企業研修で女性管理職研修をしたときに、必ずしもキャリアにコミットしていないことを、公の場で口にしてしまう残念な女性を見かけてしまったからです。
参加者は部署横断で選ばれた18人の女性でした。各テーブルで演習を行っていた時、進捗にばらつきが出て、早く終わったチームがなんとなくおしゃべりを始めました。内容は「自分は一家の大黒柱ではないかないので仕事は保険」と言うものでした。
外資出身の私は、心から驚きました。外資系に勤めている女性管理職候補で、人事が後ろで見ている研修で、このような発言をする事はありえないからです。
対等に扱ってもらえる=自分自身もきちんと会社に貢献する組織、そして自分のキャリア形成にコミットすると言う心構えが必要です。
前出のエグゼ女子も、「外資は働きやすいけど、女性が甘えられない環境であることをよく理解していないと、権利だけ主張する女性は相手にされない」と言っていました。
2. ジェンダーを気にしないで済む
日本企業では、男性だから・女性だからと言う縛りがまだまだあり、その枠の中で行動していることが多いように見受けます。例えば管理職研修に赴く前に、アセスメントツール(適性検査)の結果を見ると、女性がメンタルにタフ・競争心が強いことを職場で隠しているケースが多いです。
比較すると外資の方が、「女性らしい」を求められないで仕事ができます。
例えば、お客様がいらした時、コーヒーもしくは水をお出しするのは女性とは限らず、関係者の中で一番ジュニアな人の仕事です。外資では男性陣がセクハラ発言に過敏なので、不愉快な想いを公の場ですることはまずないです。
日本企業から外資系に移る男性は、仕事にコミットしている女性を「女の子」扱いすると問題になることと、日本企業で許容された発言がセクハラに当たるかもしれないことを思い出してください。今まで私が気になった、外資で女性がいる場所で発言したらセクハラと言われてもしょうがない例を挙げておきます。
- 結婚式のスピーチと女性のスカートは短ければ短い方がいい。
- 究極の選択、例えば崖の上に立っていて妻と愛人2人がそれぞれ落ちそうになっている。どちらか1人しか助けられない。もちろん、愛人を助けようとするが、妻の腕に子供がぶら下がっているのに気がついたら、迷わず妻を助ける。
どちらも、エリートでお人柄にも優れた日系大企業の男性なので、本当に驚きました。ものの例え様は他にあるはずですし、グループに女性が複数いる場合に適当な内容ではありません。悪気は全くないようなのですが、外資系の女性、セクハラに厳しいのでどうかお気をつけください。
3. 育児休暇が取りやすい&職場に戻りやすい
今から30年前、GE Japanで私の上司は既にワーキングマザーでした。2人目のお子さんを産んでから多少休憩されたものの、会社から呼び戻された女性です。それだけ優秀で仕事へのコミットメント・レベルも高かったです。
当時と比べたら、現在は育児休暇が国の施策としても充実しており、外資系ではMaternity Leaveを取って時短勤務をすることも多いです。ある生命保険会社では、少子高齢化による将来の労働力不足を予見して、全社をあげて Diversityに取り組んでおり、出産をした女性社員の9割が戻ってきています。
また相乗効果として、介護でフルタイム勤務が無理な社員達が性別に関わらず、時短や必要に応じて休みを取得するなど、ワーク・ライフ・バランスがとれた人生を送っています。
コロナでWFH(Work from Home=テレワーク)が日本社会にも浸透しましたが、見渡してみると現在でもWFHを継続しているのは、外資系の方が圧倒的に多いです。自由度が高いということは働きやすい環境だということなので、今後の転職にあたりWFHできる企業なのかどうか、確認事項の一つになるかもしれません。
女性が働きやすい環境は多様性に配慮する風土があるので、男性も働きやすい環境です。年齢・性別・人種などに関わらず、よりワーク・ライフ・バランスを取りながら、ライフ・イベントを乗り越えて仕事ができる環境だと言えます。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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それでは、どのような人が外資系企業に合うのでしょうか?
そこで今回は、数々の外資系企業で人事を歴任されたグローバル人材プロデューサーの鈴木美加子氏とともに、「外資系企業が合う人ってどんな人?」というテーマでオンラインセミナーを開催いたします。
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対象:
• グローバルなキャリアに興味のある社会人の方
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