転職の面接や、上司との面談でも質問されることの多い「キャリアプラン」。よく耳にする言葉ですが、将来の夢と何が違うのか、どのようにキャリアプランを考えればいいのか、具体的なイメージができない人も多いのではないでしょうか。
そこで、なぜキャリアプランを作成することが大切なのか、面接の場ではどのように伝えればいいのか、ポイントを解説していきます。
キャリアプランは理想実現のための具体的計画
キャリアプランとは、自分の理想を実現するために、必要な行動をまとめた具体的な計画のことです。計画を立てるプロセス全体を、キャリアプランと呼ぶこともあります。
キャリアプランを作成するには、まず自分が何を目指すのか、どのような働き方をしたいのかを明確にする必要があります。理想像が固まったら、今の自分に足りない部分に目を向け、目標を達成するために身につけなければならないスキルや、必要な経験を洗い出しましょう。理想の実現までにかけられる時間から逆算して、やるべきことをスモールステップに分け、キャリアプランに落とし込んでいくのです。
思い描く理想と現在の自分を取り巻く環境にギャップがある場合でも、一つひとつ着実に段階を踏むことで、漠然とした将来の夢を、実現可能な未来に変えることができるでしょう。
キャリアパス、キャリアビジョンとの違い
キャリアプランは、キャリアパスやキャリアビジョンといった言葉と混同されがちですが、それぞれ異なる意味を持った概念です。違いを確認しておきましょう。
・キャリアパス
キャリアパスは、企業の中で特定の役職や職種に就くための道筋や、そこに至るまでに必要な経験・スキルを表す言葉です。キャリアプランが会社の枠に捉われず、転職や独立を含めた自分の人生全体を見わたす視点に立っているのに対し、キャリアパスは人事異動や転勤、昇進など、組織内でのステップに目を向けています。
・キャリアビジョン
キャリアプランを通じて目指す目的地、自分の理想像を表す言葉がキャリアビジョンです。キャリアプランを作成する際には、今の自分が持っている経験やスキルを分析し、適切なキャリアビジョンを設定することが大切です。
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キャリアプランを作成する3つのメリット
忙しい毎日の中であえて立ち止まり、キャリアプランを考える時間を作ることを、負担に感じるかもしれません。しかし、社会や経済の状況が刻々と変化する中、キャリアプランがないまま働き続けることは、地図を持たずに旅をするのと同じです。ここでは、キャリアプランを作成するメリットを3つご紹介します。
1 先が見えない時代を乗り切る「羅針盤」になる
自然災害の増加や感染症の流行、IT技術の急速な発展などにより、企業や働く個人を取り巻く環境は、目まぐるしく変わり続けています。10年先どころか、来年の経済情勢を予測することも難しい現代は、不確実性や複雑性が高まった「VUCA」の時代といわれています。このような状況で、終身雇用・年功序列を基本とする日本型雇用は成り立たなくなりました。
大企業に就職すれば、定年まで安泰という終身雇用制度のモデルが崩壊した今、個人も自分のキャリアを企業任せにするのではなく、羅針盤となるキャリアプランを持ち、自分自身でのキャリアの舵取りが求められます。
2 転職するべきタイミングがわかる
キャリアプランを作成し、自分の現在地と目的地が明らかになると、今の自分がとるべき行動がわかり、「本当にこの会社で働き続けていいのだろうか」などと思い悩む必要がなくなります。
目の前に複数の選択肢が現れたときは、キャリアプランに立ち戻ることで、理想を実現するためにどの道を選ぶべきかを客観的に判断できます。転職や独立には勇気がいるものですが、キャリアプランという判断基準を持つことで、外的な要因にとらわれず、後悔のない決断ができるでしょう。
3 必要なサポートを受けやすくなる
キャリアプランにしたがってコツコツ努力していても、自分一人の力で実現できることには限界があります。理想の仕事や働き方を実現する過程では、上司や同僚、クライアントをはじめ、さまざまな人に協力してもらうことになるでしょう。自分の理想が明確になったら、そのキャリアプランを周囲の人に伝えておくのがおすすめです。
積極的に発信することで、将来やりたい仕事につながるプロジェクトや、ステップアップできる転職先に誘われる可能性も高くなります。
キャリアプランの作り方
ここからは、キャリアプランの具体的な作り方を解説します。最も重要なのは、キャリアプランのゴールである、将来の理想像を導き出すプロセスです。
一般的に「成功」とされることが、自分にとって心から望ましい未来とは限りません。これまで自分が大切にしてきたことや、やりがいを感じた経験を振り返り、自分なりの具体的なイメージに落とし込んでいきましょう。
1. これまでの経験を棚卸する
キャリアプランという言葉から思い浮かぶのは未来かもしれませんが、最初にするべきなのは「過去のキャリアの棚卸」です。自分が本心からやりたいと感じられることを理想像に設定しなければ、いくら精緻な計画を立てても、モチベーションが長続きしません。
これまで、仕事をしてきた経験の中でやりがいを感じたことや、周囲の人から高く評価されたことなどをリストアップしてみましょう。小さなことでも構わないので、紙に書き出したり、スマートフォンやパソコンに入力したりするなど、目に見える形にすることがおすすめです。就業年数が短い場合は、子供の頃のことや、学生時代の経験でもいいでしょう。
2. 将来の理想像を明確に描く
キャリアの棚卸ができたら、書き出したことをもとに、理想の未来を描いていきます。
この段階では、「自分には無理かもしれない」などと目標を下げることなく、実現したい未来を自由に発想しましょう。具体的な業種や職種、役割などが思い浮かばない人は、「5年後、10年後にどのような場所でどのような仕事をしていたいか」をイメージしてみてください。
3. 今の自分に足りない部分を分析する
理想が明確になったら、あらためて現在の自分に立ち戻り、目指すビジョンを実現するために足りない経験やスキルは何か、客観的に分析していきます。わからない場合は、自分が目指す仕事や働き方を、すでに実現している人に話を聞くのもおすすめです。
理想の未来を思い描くプロセスに比べると、地道で苦しい作業かもしれませんが、ここでしっかりと現実に向き合うことが、理想の実現可能性を高めることになります。
4. 達成までの時間と、マイルストーンを決める
これから経験したいことや身につけたいスキルを洗い出したら、どれくらいの時間をかけて、どのように経験を積み、必要なことを学んでいくか、具体的なプロセスに落とし込みます。目標を定めると、短期間で実現したくなるかもしれませんが、無理なく実現できる計画を立てましょう。
理想の実現までに長い時間がかかる場合は、途中で小さな目標、マイルストーンをいくつか決めて、モチベーションが下がらないよう工夫することがおすすめです。
5. 実行しながら修正していく
キャリアプランを作成して実際に行動し始めると、「スケジュールどおりに進まない」「関心の方向性が変わってきた」など、予定どおりにいかない事態が起こってきますが、焦らなくても大丈夫。キャリアプランは、一度決めたら変更してはいけないものではありません。
社会情勢や周囲の状況は日々変わっていきますし、経験や学びを通じて自分が成長することで、初めて見えてくることがあります。キャリアプランも、その都度アップデートしていくのが自然な流れです。試してみて、うまくいかなければ修正するプロセスを繰り返し、理想像に近づけていきましょう。
転職面接でキャリアプランが重視される理由
中途採用の面接では、面接官からキャリアプランについて質問されることが少なくありません。企業はキャリアプランを持っているかどうかを尋ねることで、応募者がしっかりと自己分析を行い、目標を持って主体的に行動することができる人物か確認したいと考えています。
また、その企業で応募者のキャリアプランを実現することができるかという点も、面接の判断基準となります。キャリアプランと事業内容や方向性が著しくかけ離れている場合、入社後のミスマッチにつながり、早期離職する原因になる可能性があるでしょう。
反対に、応募者のキャリアプランと業務内容の親和性が高ければ、雇われる側のモチベーションが上がり、仕事の上でも成果を出しやすくなるので、企業にとってもメリットが大きいと考えられます。
また、キャリアプランのゴールをどこに設定するかは、人によって異なります。理想の実現まで数年かかることもあれば、数ヵ月で最初のマイルストーンに到達することもあるでしょう。
面接では、数ヵ月〜1年単位の短期的な目標と、3~10年単位の長期的な目標、両方を質問されることがあります。入社後にどのような仕事をし、ゆくゆくは何を実現したいのか、短期的視点、長期的視点からそれぞれ考えておくと安心です。
年齢別・キャリアプランの伝え方
転職活動中、面接でキャリアプランについて質問された場合、どのように答えればいいのでしょうか。年代ごとに、伝え方のポイントを見ていきましょう。
20代:成長への意欲を見せる
社会人としての経験があまり長くない20代に求められるのは、経験の長さや豊富なスキルよりも、これから仕事を通じて成長したいというモチベーションの高さです。背伸びをする必要はないので、現時点での自分の理想像と、そのためにどのようなことを学び経験していきたいか、具体的な言葉で伝えましょう。
30代:企業に貢献できることを伝える
ある程度の経験を積み、スキルや自信が身についた30代は、自分のキャリアプランと、入社後の職務がどう重なるのか、事前に分析しておきましょう。企業にどのような貢献ができるか、具体的なイメージを伝えられるかが、面接での評価のポイントになります。面接を受ける会社だけでなく、業界全体の動向を把握しておくことも大切です。
40代以上:専門性を軸にして話す
40代以上の場合、キャリアプランの作成を通じて、自分の専門性や強みがどのような点にあるのかを深掘りしておくことが大切です。若手のマネジメントや育成、高度な技術など、「ベテランだからこそ任せたい」と考えている役割が企業側にもあるはずです。自身の専門性を通じて、企業が抱えている問題をどう解決したいかを伝えられるといいでしょう。
作成したキャリアプランを主体的にデザインしよう
社会情勢がめまぐるしく変わり続ける中、実現したい理想像に向けたキャリアプランを持つことは、壁にぶつかったとき、判断に迷ったときの大きな力となります。
転職を考えたとき、今の仕事を続けていいのかと不安を感じたときは、キャリアプランを作ってみてはいかがでしょうか。
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