業務内容を明確に定めた上で雇用契約を結ぶ外資系企業では、募集しているポジションに対する経験や専門性を重視して採用します。中途採用の場合、即戦力として活躍できるだけの実績やスキルがなければ、面接に進むのは難しいでしょう。
とはいえ、仕事ができれば必ず採用されるわけではありません。外資系企業に応募する際は、書類選考や面接におけるアピールが重要となります。その際には、志望動機まで気を抜かずに準備することが大切です。
この記事では、外資系企業への転職活動における志望動機のポイントや具体的な書き方を、例を挙げてご紹介します。
外資系企業が志望動機でチェックするポイント
日系企業か外資系企業かにかかわらず、転職活動で志望動機を問われないことはほぼありません。特に、1つのポジションに対して複数名の応募があり、いずれもスキルや経験が拮抗していた場合、会社に対する思いや、仕事にかける熱意を表した志望動機が、合否を左右するものです。
一般的に企業は、志望動機を通じて「競合他社の中で、なぜ自社を選んだのか」「仕事に対するモチベーションはどのレベルか」「自社に対する志望度はどれくらいあるか」といったことをチェックしています。
それに加えて、ここでは外資系企業が志望動機でチェックする要素について、具体的に解説します。
論理的思考力があるか
論理的思考力は、ビジネスシーンにおいて日系・外資系で等しく求められるスキルです。特に外資系企業では、「論理的思考ができること」を重視して採用する傾向があります。
なぜなら、迅速な意思決定を求める外資系企業では、合理的かつ効率的なコミュニケーションが好まれ、短時間で端的に説明できる人を高く評価するからです。
志望動機の書き方や言い回しなどで、思考の癖を読み取れます。志望動機は、論理的思考力の見極めには最適なツールなのです。
自社のカルチャーにマッチしているか
外資系企業の社風や、チームの雰囲気とのマッチ度を確認したいときにも、志望動機は有効といえます。外資系企業には、特有の風土が色濃くあるため、カルチャーマッチを考慮せず採用すると、早期離職につながる可能性があります。外資系企業では短期間でのキャリアアップのための転職は決して珍しくはないものの、採用コストを無駄にしないために、採用後、一定期間は仕事にコミットしてもらう必要があるのです。
志望動機を見れば、採用側は「どんな性格の人か」「新しい慣習や文化に溶け込める柔軟性があるか」といったことを推し量ることが可能になります。
外資系企業における志望動機の書き方のポイント
外資系企業が志望動機を重視する理由を踏まえて、書き方のポイントについて考えていきましょう。ここでは、外資系企業への応募を前提として志望動機を書く場合に、押さえておくべき4つのポイントについてご紹介します。
ありきたりな内容は書かない
応募書類に記載する志望動機は、面接に進むための重要なステップです。応募先企業の採用担当者が「この人の話を聞いてみたい」とか「この人なら活躍してくれそうだ」と思うような内容でなければ、書類選考から先に進むことはできません。
採用担当者の心を動かすには、「この会社だからこそ応募した」や「ぜひ、ここで働きたい」という応募先企業への思いを伝える必要があります。「これまでの経験を活かしたかったから」「外資系企業で実力を試してみたい」といった、どの外資系企業にもあてはまるような、ありきたりの内容を書くことは避けましょう。
応募先企業の情報をよく調べ、志望動機に説得力を持たせることが必要です。
実績や経験を数値も交えつつ言語化する
即戦力を求める外資系企業が、実績やスキルを重視することは前述したとおりです。これまでの経験と、そこで出した成果、得た知見を掘り下げてアピールしましょう。
例えば、法人営業の経験があり、扱ってきた商材や営業スタイルが応募先企業と近しい場合はプラスの評価になる可能性が高いです。実績は「前年比で売上が◯%アップ」「営業成績◯人中◯位」など、数値で示せるものをできるだけ詳しく記載すると、読み手の興味を引きやすくなります。
要点をまとめて結論から端的に書く
志望動機にあれもこれもと盛り込みすぎると全体が冗長になり、本当に伝えたいことが伝わらなくなるおそれがあります。ポジションに対して応募数が多く、1日にたくさんの書類に目を通す多忙な採用担当者であれば、途中で読むのをやめてしまうかもしれません。
前述した「論理的思考力」は、志望動機の文章の組み立て方でも伝わるものです。志望動機を書く際には、「自分の何を相手に知ってほしいのか」「相手に最も伝えたいことは何か」を整理し、結論から端的に書きましょう。
内定者の志望動機を参考にする
自分で書いた志望動機に自信が持てない場合は、志望業界・職種で実際に内定を得た人の志望動機を参考にするといいでしょう。結論とその根拠、志望業界・職種で働く意欲といった記載すべき内容は概ね同じですが、数値の出し方や特にアピールすべき点などは、内定者によって微妙に異なるものです。
完全にまねをするのはもちろんNGですが、必要なエッセンスを吸収して自分の志望動機に活かしてみてください。
業界別・志望動機の書き方
具体的に志望動機はどのように書けばいいのでしょうか。ここでは、外資系の中で「外資系コンサル」「外資系メーカー」「外資系金融」「外資系IT企業」の4つの業界をピックアップし、志望動機の書き方の一般的な例をご紹介します。
外資系コンサルの志望動機
外資系コンサル(コンサルティングファーム)への志望動機を書く際は、コンサル業界、および志望先企業の深い理解が必須です。「事業戦略に関わりたい」といった志望動機は、ほかの業種にもあてはまるため、外資系コンサルならではの独自性を出すことができません。
志望先企業の専門性や強みを調べ、自分がやりたいことと合うように書きましょう。具体的には、次のように書きます。
<志望動機の例文>
私が貴社を志望する理由は、貴社が100ヵ国以上にサービスを提供するIT系コンサルティングファームだからです。これまではSI企業の開発エンジニアとして、延べ100社以上の企業のIT化をサポートしてきました。今後は「システムがビジネスにどう影響するか」を考え、国内だけでなくグローバルな業務改革を支えるシステムの提案に携わりたいと思っています。
貴社は欧米やアジアにも支社があり、私の英語と中国語のスキルの両方が活かせると考えたことも、志望動機のひとつです。
外資系メーカーの志望動機
外資系メーカーも、業界によって文化が大きく異なります。企業の方針を志望動機に落とし込み、あなたの熱意を伝えてください。具体例をご紹介します。
<志望動機の例文>
私はこれまで、日系の消費財メーカーでマーケティング職を担ってきました。貴社への転職を志したのは、使用後の容器の廃棄、海外の生産工場における児童労働、サプライチェーンの不透明性といったメーカー特有の問題に貴社が正面から向き合い、解決を目指して真摯に取り組んでいる点に魅力を感じたのが理由です。
消費財の多くは私たちの生活になくてはならないもので、世界中の人が幸福な生活を送るためには、グローバルなサービス展開が欠かせません。
私は、海外の拠点拡充と商品の認知度向上に貢献しつつ、業界特有のマイナス部分をできる限り解決しようとする企業努力を広く社会に伝える役割も担えたらと思い、貴社を志望いたします。
外資系金融の志望動機
外資系金融への志望動機では、「なぜ金融業界なのか」「外資の金融機関に入って何がしたいのか」がカギになります。金融業界という特性上、日本経済や世界経済の動き、企業動向などにもふれられるとベターです。
<志望動機の例文>
貴社を志望する最大の理由は、投資銀行の将来性と、顧客からの信頼の厚さです。
企業の事業拡大に伴う資金需要やアドバイザリー需要の高まりを受け、投資銀行の市場は2027年には5,200億2,600万米ドルに達すると予測されています。貴社に転職し、拡大する市場で活躍したいと考えました。
また貴社は、日米両国で非常に多くの実績があり、顧客から高い信頼を勝ち得ています。投資銀行の業務において、取引先企業からの信頼は不可欠なものです。「信頼」という確固たる基盤を持つ貴社であれば、一流のバンカーになるための多くの経験を積むことができると思っています。
外資系IT企業の志望動機
外資系IT企業では、扱う技術やシステムなどへの深い理解と、これまでの経験との親和性が問われます。実績や経験をわかりやすく記載し、どのように志望先企業の市場開拓に貢献できるのかを示すようにしてください。
<志望動機の例文>
私は前職で、ビッグデータやAIの分析を行ってきました。今後は実際にビジネスの現場で役立つサービスのセールスに携わりたいと考えていたときに知ったのが、御社のAI部門の取り組みです。ビッグデータとAIを組み合わせた貴社のITサービスは、多くの業種・業界に役立つものであると考えます。
これまでの経験と知識を活かし、対象業界にフィットするITサービス活用を提案したいと思い、貴社を志望いたしました。
面接での志望動機に関する質問と答え方
志望動機は、書類選考を通過した後の面接でも、ほぼ確実に聞かれるでしょう。ここでは、面接でよく聞かれる志望動機に関する質問と、おすすめの答え方をご紹介します。
Q. 志望動機を教えてください
「志望動機を教えてください」という質問は、シンプルに志望動機を問うものです。応募書類に記載した内容をもとに回答を組み立て、整合性がとれるように回答することが大切です。
ただし、応募書類に書いたことを丸暗記し、読み上げるように答えるのは避けてください。面接官は一度書類に目を通してから面接に臨み、質問をしています。つまり、書いてある志望動機を前提とした上で、「応募者自身の言葉で、志望動機を話してほしい」と思っているのです。
応募書類に書いた志望動機を機械的に読み上げるだけでは、志望先企業への熱意は伝わらず、面接官の心を動かすことはできません。記載内容をベースにしつつ、新たに調べた志望先企業の情報を盛り込んだり、その場で感じた面接官への思いを伝えたり、自身の経歴に関する具体的なエピソードを追加したりするといいでしょう。
Q. 転職先を選ぶ基準を教えてください
「転職先を選ぶ基準」を問われた際には、今回の転職活動にあたって、企業選びで重視したポイントを伝えましょう。
例えば、「これまでの経験を活かしてキャリアアップできること」「マネジメント職として活躍できること」「マーケティング職であること」などです。ぶれない価値観を持って転職活動を進めていることがわかると、面接官に本気度が伝わります。
Q. あなたが最近気になっている事業やサービスを教えてください
志望先の事業に関連した内容で、より新しいものを選んで、具体的に説明しましょう。
例えばIT系の企業なら、「AIのビジネス活用に興味があります。最近では、ディープラーニングを活用した製造業の外観検査ソフトウェアの開発に興味を持ちました。人手不足に悩む業界で、人にしかできない仕事を再定義し、人でなくてもできる仕事をAIに任せていきたいと考えています」という回答です。
「当社のビジネスでは、どのようなAIの活用が考えられるか」といった深掘りに備えて、志望先企業や競合他社のビジネスを詳しく調べておいてください。
Q. あなたのキャリアプランについて説明してください
応募者のキャリアプランを問う質問の意図は、自社の仕事内容や実現できるキャリアとの相性をチェックすることにあります。また、応募者が自社をどれだけ理解しているかを図る目的も含んでいます。
志望先の事業やサービスに絡めて目標を伝え、そのためにはどのような努力をするか、志望先企業でどのようにステップアップしていきたいかを論理的にアピールしてください。
Q. ほかに志望している会社があれば教えてください
他社の選考状況を聞かれた際は、選考を優位に進めたいという気持ちから「御社しか受けていません」と言いたくなるかもしれません。しかし、転職活動においては逆に不自然だと感じる面接官もいます。
嘘はつかず、素直に「同業と別業界の2社で、選考が進んでいます」「A社は◯次選考まで進んでいます」と具体的に答えてください。その上で、他社と志望先企業を受けている理由をロジカルに説明できればいいのです。
外資系企業への志望動機に悩んだら、転職エージェントに相談しよう
外資系企業への志望動機は、書類選考を通過するために欠かせないものであり、実力が拮抗している応募者の合否を分ける可能性がある重要なものです。志望動機の書き方に不安があるときや、内容をさらにブラッシュアップしたいときは、転職エージェントの書類添削サービスを利用しましょう。
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