好景気の今、外資系企業は好調を維持し、今まで以上に採用の門戸を広げています。やりがいや年収アップを求めて外資系企業への転職を考えている人もいるのではないでしょうか。しかし、「日系企業より給料がいい」「実力主義」といったイメージが先行して、「そもそも外資系企業とは何か」ということを説明できる人は多くはありません。
ここでは、なかなか聞けない「外資系企業って?」という根本的な疑問にお答えします。
外資系企業とは?
外資系企業と聞くと、日本に進出してきた外国企業を思い浮かべる人が多いでしょう。もちろんそれも正解ですが、正確な定義は「外国の法人、もしくは外国人投資家が一定以上出資している日系企業」であり、いくつかのパターンに分けられます。なお、出資の比率は「一定以上」と、明確な決まりはありません。
1 外国の企業が日本で設立した完全子会社(日本法人)
外資系と聞いて多くの人が思い浮かべるのが、外国の企業が日本で完全子会社を設立するパターンでしょう。日本に進出するということは、それだけ資本に余裕があるということであり、進出前から知られている著名な企業がほとんどです。
例)
グーグル、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ルイ・ヴィトンなど
2 日系企業と海外企業が共同出資で設立した会社
外国の企業が日本に進出する際、現地でのノウハウを求めて、ブランド力などを欲する日系企業に共同出資での会社設立を持ちかけるパターンもあります。このとき、外国企業の出資比率のほうが多い場合に、外資系企業に分類されることがあります。
例)
日本マクドナルド、富士ゼロックスなど
3 外国の企業が日系企業の株式を取得したケース
経営課題の解決を目的として、日系企業を海外の企業が買収し、経営権が移って外資系企業となるケースがあります。急に上司が外国人になったり、公用語が英語になったりと、社員への影響は少なくありません。なお、戦略上の都合で、買収後も日系企業が経営権を維持する場合もあります。
例)
台湾の鴻海(ホンハイグループ)に買収されたシャープ、香港のファンドであるベアリング・プライベート・エクイティ・アジアの子会社となったパイオニアなど
4 外国企業の日本支社
上記3つのケースのほか、外国の企業が日本進出するにあたって設置した支社・営業所も、外資系企業として見られます。
外資系企業で働くメリット
社会人として成長できそう、専門的なスキルが身につきそうといったイメージを外資系企業に持つ人もいるでしょう。一方で、成果至上主義、ハードワークといったイメージがぬぐえず、転職するとなると躊躇してしまう人もいるようです。
まずは、外資系企業で働くメリットをご紹介します。
1 高収入が期待できる
外資系企業は、日系企業と違って退職金制度がなく、住宅手当や育児手当などの福利厚生をあまり充実させない代わりに給与として還元するという考え方が一般的です。
年功序列も一切なく、実力と結果を正当に評価するスタイルなので、成果を出しさえすれば年齢にかかわらず高収入となります。転職で大幅に年収がアップする可能性も十分あるでしょう。
2 風通しが良く、成長性が高い
外資系企業には、実力主義で、社員同士が干渉し合わないドライなイメージがあるかもしれません。実際には、さまざまなバックグラウンドの社員たちが気持ち良く働けるよう、フレンドリーでオープンマインドな社風の企業が多いようです。役職や年齢にかかわらず、言いたいことを言えるフラットな雰囲気も外資系企業ならではでしょう。
Great Place to Work® Institute Japan(GPTWジャパン)が発表している2019年版「働きがいのある会社」にも、多くの外資系企業がランクインしています。
3 能力があれば学歴や転職回数は問われない
学歴至上主義の傾向があり、転職回数が多いと敬遠されがちな日系企業に比べて、外資系企業が見ているのは個人の能力です。実績があり、自社の経営に寄与できる人材であると判断すれば、経歴にかかわらずきちんと評価してくれます。
4 入社したその日から即戦力として働ける
外資系で、日系企業並みの研修制度を設けている企業はほとんどありません。能力や経験、実績に期待して採用している以上、入社した瞬間から即戦力として活躍してくれるものと思っているからです。最前線で自分の力を試したいと思っている人には最適な環境でしょう。
5 オンオフの切り替えがはっきりしている
外資系企業には集団主義ではなく、個人主義な企業が多いです。「上司の誘いは断れない」「みんなが残業しているから帰りにくい」といった、日系企業にありがちな空気の読み合いはありません。
自分が今日終わらせるべき業務を終えたら終了という認識なので、ワークライフバランスを保ちやすいでしょう。有給休暇や長期休暇も、取得を奨励してくれます。
6 スペシャリストになれる
外資系企業には、社内のジョブローテーションをして社員を育てる習慣は日系企業に比べて多くはありません。必然的に、ひとつの職種を突き詰めてキャリアアップしていくことになるので、スペシャリストとして成長することができます。
外資系企業で働くデメリット
メリットの多い外資系企業ですが、デメリットはあるのでしょうか。外資系企業で働くデメリットと考えられることを挙げてみます。
1 キャリアアップには語学スキルが必要
「外資系企業は英語力が必須」というイメージがありますが、取引先がほとんど日系企業だったり、上司が日本人だったりする場合、入社する段階ではそれほど高い英語力は必要ありません。
ただし、キャリアアップしていくと、レポートラインが海外本社を含んだり、取引先が海外企業になったりと、ビジネスレベルの英語力を求められるシーンが増えていきます。いずれマネージャー以上のポジションを目指すなら、ある程度の英語力は身につけておく必要があります。
2 事業を撤退する可能性がある
日本の外資系企業は、海外本社から見ればあくまで「支店」のひとつ。コストに見合わない、思うような成果が上がらないと判断すれば、撤退もあるでしょう。外資系企業では転勤の制度があまりなく、事業を撤退した場合、海外の本社に異動して働き続けられるという可能性は低いです。
3 ジェネラリストになりにくい
スペシャリストを目指せるというメリットは、裏を返せばジェネラリストになりにくいということにもなります。ひとつの仕事にこだわって突き詰めたい人にはぴったりですが、いろいろな仕事に関わって自分の適性を見極めたいという人には、デメリットになるでしょう。マネジメントの道を希望する人にとっても、事業を俯瞰する視点が身につきにくいかもしれません。
外資系企業でも、企業によってカラーはさまざま
ここまでご紹介した外資系企業のメリット・デメリットは、あくまでも一般的なものであり、あてはまらない企業も多くあります。日系企業にそれぞれ違ったカラーがあるように、外資系企業にもそれぞれ違ったカラーがあります。応募する際は、「外資系企業」でくくらず、一つひとつの応募先企業をしっかり調べましょう。
また、外資系企業で活躍するためには、いかに自己主張するかが大きなポイント。自分がどんなスキルを持っていて何を実現したいのか、どのように会社に貢献できるのか、自分の言葉で明確に伝えなければ、意見もスキルもない人だと思われてしまいます。日本人はつい、意見を言うと煙たがられるのではないかと心配してしまいがちですが、外資系企業では主張しないことのほうが問題であることを覚えておきましょう。
こうした文化の違いに順応する姿勢は、外資系企業で働く上ではとても重要です。外資系企業では、さまざまな国籍やバックボーンを持つ人が働いています。育ってきた環境が違えば、考え方や意見も違って当たり前。自分の常識とは異なる文化を受け入れて楽しむことも、外資系企業で活躍するための大切なポイントでしょう。
グローバル企業で働くことは、グローバルに働きたい人や語学力を生かして働きたい人だけでなく、自分の可能性やワークライフバランスを求める多くの方にとって、多くのメリットがあります。
RGFプロフェッショナルリクルートメントジャパンでは、外資系・日系グローバル企業の案件を中心に、国内外のさまざまな優良企業の採用活動を支援しています。そのため、それぞれの方が求める最適なキャリアの選択肢をご紹介可能です。
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