日系企業でしか働いた経験がない人にとって、外資系企業は文化も風土もまったく違う、未知の世界ではないでしょうか。「優秀な人たちとグローバルな環境で働いてみたい」「自分の実力を試してみたい」という憧れと意欲はあっても、「実際はどうなのだろう?」という不安から、なかなか転職への一歩を踏み出せないという人もいるでしょう。
ここでは、外資系企業で働くメリットと注意点についてご紹介します。
外資系企業とは?
初めに、外資系企業の定義から確認しておきましょう。外資系企業は、大きく4つに分類できます。
1 外国の企業が日本で設立した100%子会社(日本法人)
グーグルなど巨大資本を持つ外国の有名企業が、日本で100%子会社を設立したケースが外資系企業のイメージ、という人は多いでしょう。
2 日系企業と海外企業が共同出資で設立した会社
日本に進出したいが地の利がない外国の企業と、外国企業の資金力やブランド力が欲しい日系企業との思惑が一致して、共同出資という形で会社を設立するケースがあります。出資比率に明確な決まりはないため、外国企業の出資比率が多い場合に外資系企業に分類されます。
3 外国の企業が日系企業を買収した場合
経営課題を抱える日系企業を海外の企業が買収するケースもあります。台湾の鴻海(ホンハイグループ)に買収され、業績を回復したシャープなどがこれにあたります。
4 外国企業の日本支社
外国銀行や外国証券会社などが、日本進出のために支社・営業所を設立したケースも、外資系企業に分類できます。
外資系企業で働くメリットは?
高い年収や実力主義など、漠然と外資系企業に良いイメージを持っている人もいるでしょう。外資系企業で働くことには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
実績次第ですぐにキャリアアップできる
外資系企業と聞いて最も多くの人がイメージするのが、「実力主義」ではないでしょうか。外資系企業での評価に、年齢や入社年次、性別などは一切関係ありません。若くても入社から間がなくても、自分の仕事でしっかり実績を残すことができれば、公平に評価されます。
日系企業のような中途採用社員向けの研修やメンター制度などのフォローがない企業が多く、最初から即戦力として裁量権を持たせてくれるので、やりがいは大きいでしょう。
実績を正当に評価してくれるので、高収入が可能
徹底した実力主義の外資系企業では、評価に応じて年収もアップします。優秀な人材がライバル会社へと流出することを防ぐためにも、結果を出せば高い年収で応えてくれるでしょう。
ただし、日系企業のように集団主義でなく個人主義で、「社員は組織ではなく仕事にコミットするもの」という感覚のため、組織から慰労の意味で退職金を支払う習慣はほぼありません。後からもらう退職金の代わりに、今の収入に上乗せされているというイメージです。
スピード感があり、意思決定が早い
日系企業では、事業や経営に関わる決め事をするにあたって、長く複雑なプロセスを踏まなければならないことがあります。その点、外資系企業の意思決定はとてもスピーディーです。
個々人に与えられる裁量も大きく、直属の上司からゴーサインが出ればすぐに実行に移せるケースも多いようです。「コストがかかりすぎる」「計画どおりに拡大しそうにない」と判断すれば即撤退するなど、引き際を決めるスピードも速い傾向があります。
語学力の向上が見込める
レポートラインが海外を含んでいたり、上司や同僚が多国籍で社内の公用語が英語だったりすると、否応なしに英語と関わる機会が増えます。
入社した時点での英語力にかかわらず、自然と英語力の向上が望めるでしょう。
自分の仕事に集中できる
組織のためにみんなでがんばるというより、一人ひとりが自分の責務を完璧にこなそうとするのが外資系企業の社風。周囲に惑わされることなく、やるべき仕事に集中することができるのは大きなメリットです。
人間関係がドライ
「仕事とプライベートはまったくの別物で、仕事が終われば自分の時間」というのが外資系企業の基本的な文化です。会社としてのイベントや飲み会、パーティーなどがないわけではありませんが、参加は自由。もちろん、上司に気を使ってお酌して回るようなこともなく、フラットな関係でその場を楽しみます。
どちらかといえばドライな人間関係なので、仕事仲間とは程良い距離感を保ちたい、仕事とプライベートはしっかり分けたいという人にはぴったりでしょう。
ワークスタイルの自由度が高い
外資系企業では、多様な国籍の社員たちが多様な価値観の中で働いています。そういった社員が「勤務時間内に成果を出す」ことを前提として、テレワークや在宅勤務などをいち早く導入し、自由な働き方を認めている企業が多くあります。企業によって異なるものの、有給休暇や長期休暇も取りやすく、比較的ワークスタイルの自由度が高い企業が多いです。
生産性が最優先
外資系企業はコストより生産性を優先し、精神論で社員を動かすことがありません。例えば、出張時に使う飛行機のクラスなど、日系企業であればコスト意識が先に立ってエコノミーを選ぶところ、外資系企業なら「長時間移動で疲れが溜まればその後の仕事に差し支える」という理由で、ビジネスクラスを選ぶことも珍しくありません。
外資系企業で働くデメリットは?
メリットが多い外資系企業ですが、働くことのデメリットについても考えてみましょう。
解雇される可能性がある
一般的に、外資系企業で働くリスクとして最初に思い浮かぶのが、「成果を出さないとすぐ解雇される」ということではないでしょうか。確かに、外資系企業は日系企業のように終身雇用制ではありませんが、「理由も告げずに即時解雇」ということはほとんどありません。多くの場合、実績が上がらない社員に対しては改善プログラムを実施し、その上で進退を検討させることになります。
「高い年収で雇用する代わりに圧倒的な成果を出してほしい」という企業などでは、短期間で厳しい評価が下されることはあります。しかし、一方的な解雇を禁じる日本の法律に則って企業運営されているため、無理な解雇や減給を迫られるおそれはあまりないでしょう。
幅広い業務に関わることは難しい
外資系企業は、「就社する」という考え方ではなく、あくまで「仕事に就く」という考え方なので、入社後にポジションチェンジを希望する場合は、一度すべてのキャリアをリセットして、ゼロからスタートしなくてはなりません。外資系企業は専門を極めていく働き方なので、幅広い業務を経験することは難しいでしょう。
高い語学スキルが求められることがある
一口に外資系といっても、求められる語学力のレベルは企業や職務によってさまざまです。ただし、ポジションや目指すキャリアプランによっては、ビジネスレベル以上の語学力を求められる場合があります。
事業撤退する可能性がある
外資系企業における最終決定権は、あくまで本社にあります。戦略を立てるのも、その実行や撤退を決めるのも、すべて本社です。
そのため、「安定した環境」とは言い難く、急に事業撤退してポジションがなくなってしまうこともあります。
教え育てる風土がない
外資系企業は、中途入社の社員を最初から「専門的なスキルを持った即戦力」と見ています。そのため、中途採用者のために研修を行ったり、先輩社員が面倒を見たりといった手厚いフォローがない企業もあります。
入社した瞬間、勤続年数などにかかわらず、全員が横並びで見られる覚悟を持つ必要があります。
外資系企業でメリットが得られるかどうかは会社と自分次第
外資系企業には、日系企業にはない文化がありますが、外資系というイメージだけで一括りにするのは危険です。ワークスタイルや福利厚生の有無、社員同士の距離感などは企業によって異なるため、一般的にメリットとされることがすべての企業にあてはまるとは限りません。
リサーチ不足は、転職失敗のもとです。「外資系企業だからメリットがあるはず」という固定観念は捨てて、応募する企業ごとにしっかり下調べをし、自分に合う企業かどうかを見極めましょう。
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