元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは「外国人から日本人はどう見えるか」です。
日本人と外国人が一緒に仕事をする時、異文化が衝突してうまくいかない事は多々あります。外国人から見て、日本人はどのような点が理解しにくい仕事相手なのでしょうか。
ハイコンテクストの文化
エドワード・ホールが唱えた、ハイコンテクストの文化vsローコンテクストの文化をおさらいします。コンテクストとは、コミュニケーションの基盤である「言語・共通の知識・体験・価値観・ロジック・嗜好性」などのことです。日本はハイコンテクスト文化の代表であり、場の雰囲気や空気によって内容を察することができます。例えば居酒屋で、カウンターの向こうの大将が「トマトが終わった」と言ったら、数分後、スタッフがキッチンから切ったトマトを運んでくるということが起こります。大将の「トマトがなくなったから、1cm幅に切ってタッパーに入れて持ってきて欲しい」という気持ちを察することができるのです。
ところがローコンテクストの文化、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダなど欧米と言われる国に多いローコンテクストの文化の国では、明確に口にしないと相手に意思は伝わりません。あ・うんの呼吸とか行間を読むと言う習慣はないわけです。先ほどの居酒屋の例でいえば、大将が「トマトが終わった」と言っても、何も起こりません。自分が相手に何をして欲しいのかを伝えていないからです。
ハイコンテクストの日本人が、ローコンテクストの国の人と仕事をすると、コミニケーションに大きなズレが生じるのはこのためです。日本人は外国人と仕事をする際には、自分の意志・相手にやって欲しいことを明確に伝えないと、自分を理解してもらえないことを意識する必要があります。
前例を重んじる
日本に進出する外資系企業が阻まれる最初の壁は日本語という言語ですが、実際に仕事をし始めてから感じる壁は、日本人が前例にこだわることです。新しく何かを始めるのですから前例は当然存在しないわけで、日本に顧客はまだいません。しかし日本サイドからは、日本でどんな企業と取引をしているのかを問われ言葉に詰まることがかなり多く発生します。市場進出のみならず、日々の職場で起きるスケールの小さな事でも、今までどうやってきたのかに拘りすぎると、「今まではそうでも、これから先はもっと良い方向に変えれば良いのでは?」と言われてしまいます。慣例にとらわれずチャレンジする姿勢を見せたいものです。
会議での発言
外国人を驚かせる日本人のビジネス習慣の1つは、会議中に発言しないのに会議が終わったら主催者のところに来て、自分の意見を述べたり質問をしたりする人がいることです。外国人にとって会議は既に決まっていることを承認する場ではなく、参加者が真剣にその場で討論し問題を解決する場です。会議に参加することに意義はなく、発言がないのは人前で言うに価するアイディアがないからだと誤解され、何回も続くと最悪、会議そのものに招待されなくなる可能性もあります。他人からどう思われるかを心配しすぎることなく、外国人と同席する会議では自分の意見を発信する必要があります。
そういえば昔、モルガンスタンレー時代に私が初めてNYに出張した時、早口のニューヨーク英語に目を白黒させながら、何も発言できないで会議に出ていたところ、終わった後で日本に駐在経験がある同僚から手招きをされ、「ミッキーは本当はどう思っているの?」と聞かれたことがあります。彼は日本で仕事をしていたことがあるので、日本人の人前で発言しない特徴を思い出してくれたのでしょうが、通常このような配慮はなく「意見のない人」として終わってしまいます。外国人との会議に慣れないうちは、最後の質問タイムで気が利いた質問をすることから始めて、自分の意見を伝えられるようになりましょう。
外国人の個性をよしとしない
諸外国でも、あまりにスタンドプレーが目立ちすぎる人は、出る杭として打たれる可能性はあり敬遠もされます。
しかし、日本のように常に他人の視線を気にして目立たないように振る舞う国ばかりではありません。むしろ人と違うことを個性と捉えたり、自分の主張を持つしっかりした人だとポジティブに受け止めることも多いので、横並びであれば安心と言う感覚が外国人には通用しないです。外国人の同僚に対して、目立たない振る舞いをどこかで期待していませんか? 彼らは個性があることをよしとする文化出身なので、同調を求められると非常に窮屈に感じてのびのび仕事ができません。彼らの個性を認め、多様性を活かすマインドを持ちましょう。
異文化とうまく付き合いながら協働するためには、日本人・日本文化の特徴をよく理解し、外国人には理解できないことも多いことを思い出しながら仕事をしたいものです。職場に外国人がいる方、これから外資系に転職する方は是非気をつけてください。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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