元・外資系人事部長、グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは『なぜ外資系企業で働くのか』です
私は最初の職場に日本GEを選んでから25年間の会社員生活のすべてを、外資系企業で過ごしたことになります。GEから転職することを決めた時に、大手日本企業との合弁会社に異動するという選択肢もありました。しかし私はその選択肢を取らず、外資系企業で働く道を進むと決めました。本日はなぜ外資系で働くのかについて考察します。
キャリア形成の責任が自分にある
ほとんどの外資系は新卒採用を職種別に行うので、自分の配属先は自分で決めることになります。この点は日本企業の一括採用をして配属を会社側が決める制度と根本的に違います。
外資に入社するにあたっては、自分の強み弱みの棚卸しを行い、適性を分析して、どの仕事に就きたいかを自分自身で決める必要があります。責任重大でもありますが職業人生は長いので、自分で決定できる素晴らしさがあります。
入社してからも、会社の都合で一方的に異動が決まる事はあまりありません。異動や転勤のときには打診があり、本人の気が進まなかったり家族の都合で動くことができなかったりする場合には断ることが可能です。断ったからと言って大きく出世の道から外れると言うことはなく、またチャレンジできるチャンスが回ってくる可能性もあります。
このようにキャリア形成の責任が自分にあるので、入社してから会社任せにして努力を怠っていると、10年、20年経った時に大きな差が出ることになります。積極的に自分に自己投資をして社外で勉強したり、会社の研修に自発的に手を挙げてスキルを上げようとしたりする社員にはかなわないことになるからです。
個人主義である
文化を測る指標に『個人主義vs集団主義』があります。比較すると欧米の文化は個人主義であり、日本の企業は集団主義の傾向が高いです。どちらが良い悪いはないのですが、この指標は企業文化に大きな影響を与えるので、特定の個人にどちらが向いているかは明確にあります。
例えば私の場合、グループで行動する事をあまり好みません。具体的には新卒時代から、就業時間後は自分のために時間を使いたいと思っていました。同僚や会社の同じメンバーと頻繁に、ノミニュケーションするのが当たり前のような文化を好まない人間です。GEでもたまに仲良し仲間で飲みに出かけていましたが、楽しいから行っていたのであって、peer pressureに負けて嫌々出かけていたのではありません。
また外資系の職務範囲がきちっと決まっている点も、自分には向いていました。日本企業には草野球的な側面があり、みんなで落ちそうになるボールを拾うからこそ失敗が起きにくいという素晴らしさがあります。しかし個人的な好みとして、どこからどこまでが自分の責任範囲なのかが明確で、それに対して最高のクオリティーの仕事を届ける方が自分には合っていました。繰り返しますが企業文化として、個人主義的・集団主義的な傾向が高いことに良い悪いはありません。ひとえに好みの問題です。
生産性が高い
a. 労働時間が短い
単純に比較することはもちろん難しいのですが、同じ業界で職種が似ていれば外資系企業の方が短い労働時間である可能性は高いでしょう。なぜかと言うと、自分の仕事が終わったら帰って良いと言う企業文化が存在するからです。仕事のプロセスではなく結果を評価する業績評価の仕組みが、「長時間労働」イコール「仕事ができる」にならず、上司が早く帰らないと部下が帰りにくいと言う無駄をなくしています。
b. 意思決定が早い
独立して日本企業のクライアントとお仕事をさせていただくようになり、この点の違いは大きく感じます。日本企業の場合は根回しが必要であり合議制なので、意思決定にかかる時間は必然的に長くなります。稟議書が存在しハンコを押さないといけないので、誰かのところで偶発的に止まっている書類のフォローをしないといけない可能性は高いのです。外資系の場合はとりあえず発案者に責任があり、内容によっては上司の口頭での承認で先に進めることが可能です。予算が大きくなると段階的に誰のサイン(署名)が必要になるかは決まっており、本人以外の署名者は2人か多くても3人なので、承認プロセスが短くなります。
本日は企業文化という切り口で、なぜ外資系に働くかを考えてみました。皆さんの個人的な好みはどうですか? 日本企業・外資系企業それぞれの良さを理解した上で、自分により合った職場を選び日々の満足度を上げましょう。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
グローバル企業で働くことは、グローバルに働きたい人や語学力を生かして働きたい人だけでなく、自分の可能性やワークライフバランスを求める多くの方にとって、多くのメリットがあります。
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